老人ホームの現状 

介護難民。こういう言葉を耳にした方も多いと思います。

何年か前ならば、病院に入院すればずっと面倒を見てもらえるはずでした。

また自宅においても、子供が親の面倒をみるということは当然でしたので、そんなに心配でもなかった時代でした。

しかし、最近では病院も入院日数を短縮せねば診療報酬上メリットがだせなくなり、以前あったような社会的入院は非常に厳しい状況になってきました。

入院しても20日そこそこで退院を迫られる。そうなると自宅に戻るしか行き場所がありませんが、その自宅も安心できる場所ではなくなってきて

います。自宅に帰っても世話をしてくれる人もいない(独居老人、夫婦の高齢化、家族が介護しようという意識が乏しい等)状況で、老人の行き場が

なくなってきているのです。

それでは高齢になって病気がちになったら、どうすれば良いのか?

まず思い浮かぶのが公的な保障です。公的な老人入居施設もありますので、検討する余地は充分あります。公的施設ですので安心ですし、費用も比較的安い。しかし公的ゆえの制約もあるのが現実です。

あとは有料であっても老人ホーム等の施設に入所するという選択肢です。

しかし老人ホームは高額で、とても入居は無理・・・こう考える方も多いと思います。経済状態と体の状態、家族との関係等いろいろなことを総合的に判断しないと老後が安心して暮らせない時代になって来ました。

老人ホームの変遷

平成12年度 介護保険制度施行。 従来全て自費でまかなってきた有料老人ホームは、介護の部分において公的サービスが導入されるようになりました。これに伴い、有料老人ホームはいっきに施設数を伸ばしてきています。また施設の内容も時代に合わせて変化してきています。

従来のホーム

 ・数千万円の入居一時金

 ・施設規模も大きく(100室以上)、居住空間も広め

 ・郊外立地が多い

 ・自立者向け

介護保険施行後のホーム

 ・入居費用は比較的低額

 ・ダウンサイジングされ、居室も15平方メートルのような小ぶりのタイプ  が増加

 ・主として要介護者向け

 ・都市型立地が多い

いかがでしょう、ホーム自体も変ってきている点がご理解して頂けたでしょうか。

介護保険で請求する施設は、各都道府県へ申請して許可をもらいます。前述したように介護保険導入後施設数は急増し、現在各行政区単位で総量規制をかけています。こういう動きもあり、従来とは形を変えた施設(住宅型等)の台頭も著しいようです。

介護保険施行と併せて、有料老人ホームの法律とも言える「老人福祉法」も改正されています。

これに伴い有料老人ホーム関連の法改正もあり、改正点は以下のようになっています。

老人ホーム 法改正後の改正点

@人数要件の撤廃・・・以前は10人以上という要件がありましたが、改正に伴い高齢者向けに法律・規定に沿ったサービスを提供する施設ならば全て有料老人ホームとなります。

Aサービス提供要件の変更・・・従来は食事の提供及び日常生活上必要なサービスの提供が義務づけられていましたが、食事の提供、入浴・排泄または食事の介護、その他の日常生活上必要な便宜であっ     て、厚生労働省令で定めるものとなりました。

以上のサービスの全て、若しくはいくつかの組み合わせや一つだけでも提供されていれば、有料老人ホームとなります。

また入居時点で全くサービスを提供していなくても、将来的に何らかのサービス提供をすることを約束していれば有料老人ホームになります。

B帳簿保存及び情報開示の義務・・・有料老人ホーム事業について省令で定める帳簿の作成と保存の義務化が法律化されました。

また情報開示義務の同様です。

C家賃等の前払いの保全措置義務・・・これはよく問題になる事柄ですが、入所一時金等の算定根拠、返還に関する法律です。

保全措置を講じていない施設は、有料老人ホームとして認可しないということになりました。

D監督都道府県の立ち入り検査の付与・・・入居者の権利保護の名目で立ち入り検査をする権限が管轄都道府県に与えられました。

このように介護保険導入により、以前からトラブルの多かった部分に法の監視がつけれれるようになったのです。

しかしながら、無届の施設も多数存在するようです。十分注意しないと、結局利用者側にリスクが跳ね返ってくることになりかねません。 

   


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